Sunday, September 16, 2012

これ1冊ですぐにわかる六ヶ所再処理工場の危険性


小出裕章・渡辺満久・明石昇二郎『最悪の核施設六ヶ所再処理工場』


 

<様々な原発報道において、なぜか盲点になっている場所がある。それが、青森県六ヶ所村の「使用済み核燃料再処理工場」だ。本格稼働すると「原発が一年で放出する放射能を一日で放出する」と言われるこの施設では、いくつものお粗末な欠陥が露呈し、しかも、直下には明らかに活断層が存在する。その危険性は、通常の原子力発電所の比ではない。

 本書は、それぞれの分野で「六ヶ所」にアプローチしてきた専門家たちの切実な訴えで構成される。このような施設を稼働させれば、日本のみならず地球全体に取り返しのつかない災厄をもたらすのである。>

 

原発の危険性を訴えてきた原子力工学者、断層の確認をしてきた変動地形学者、原発を追いかけてきたジャーナリストの3人による、「危険な新書」である。六ヶ所再処理工場の全貌ではないが、危険が簡単に理解できる。ひとたび事故が起きれば、あまりにも巨大な被害が生じる。原発以上に危険な再処理工場である。しかも、これをつくり、運営しようとしているのは、すでに素人以下であることが判明した自称「専門家」たちである。本書では日本は「原子力後進国」を命名されている。なるほど、と思う。むしろ「原発事故大国」である。3.11以前からそうだったのだから。

 

第2章「シミュレーション『六ヶ所炎上』」では、地震と津波によって六ヶ所が事故を起こした場合の被害状況のシミュレーションだ。「見えてくるのはとてもこの世のものとは思えない、あまりにも残酷な光景ばかりだったので、やめておくことにした」と、中断されている。

 

第3章の活断層研究では、これまでの原子力関連施設の建設に際しての活断層調査・判定がいかにずさんで、インチキで、ごまかし続きであったかが、詳しく語られている。「いくらなんでも、まさか」というレベルの話ばかりだ。無能で無責任で破廉恥な「御用学者」には、もう相当慣れたつもりだったが、まだまだ。あきれてものが言えないという言葉を延々と繰り返すしかない。

 

これ1冊で、すぐにわかる六ヶ所。