Thursday, March 14, 2013

人権理事会UPR日本報告を採択(死刑、代用監獄、「慰安婦」、フクシマ)

グランサコネ通信2013-16                                              *                                                                               14日の人権理事会は普遍的定期審査(UPR)だった。午前のガーナ、ウクライナ、グアテマラは速やかに終わり、休憩をはさみながら、昼はベニン、韓国、スイスと続いたが、意外にスイスの審議が長引いた。午後はパキスタン、ザンビア、日本と続いた。日本審査は5時からの予定が5時半開始、6時20分頃までとなった。                                                    *                                                                                            日本政府に関するUPR作業部会報告書(A/HRC/22/14)――内容は昨年10月に行われた作業部会の報告書で、各国から174の勧告が出された。                                                                                   日本政府のリプライ報告書(A/HRC/22/14/Add.1)――内容は174の勧告に対する日本政府の応答。大半の勧告を受け入れるが、26は拒否。拒否したのは、死刑廃止、刑事法制度(特に代用監獄問題)、そして「慰安婦」問題の3つが中心。                                                                                         最初に日本政府がリプライの報告発言をした。                                                                                            続いて、各国からの発言だが、イランは、日本の応答を歓迎しつつ、マイノリティの子どもに対する差別での善処に言及した。ラオスは、子ども売買への取り組み、障害者の権利、女性に対する暴力、ジェンダー平等に言及しつつ、日本政府の努力に触れた。フィリピンは、「慰安婦」について日本政府の努力を認め、人身売買に関するパレルモ議定書と、移住労働者権利保護条約の批准を求めた。韓国は、すべて「慰安婦」問題について。日本政府は日本軍政奴隷制について法的責任を受け入れていない、誠実な措置が講じられたとはいえない、問題はまだ未解決であるから法的責任を受け入れるべきである、と発言した。モルドヴァは、日本が女性に対する暴力と人身売買に取り組んでいることはわかるとしつつ注意喚起。タイは、ジェンダーステレオタイプな権利侵害と性的搾取があると指摘した。アルジェリアは、子どもの性的搾取と、女性の社会進出が遅れていることに言及。中国は、「慰安婦」問題についてまだ誠実な措置が講じられていない、人権委員会などの人権機関は、NGOが要請してきたが、対応がなされていない。法的責任を受け入れて、謝罪をし、女性に対する深刻なジェンダー暴力に向き合うように促す、と発言。そのほかに、マレーシア、ミャンマー、ルーマニア、ヴェトナム、ボツワナが日本を積極的に評価する発言。                                                                                                         NGOは、国際人権連盟IFHRLが、死刑と代用監獄について批判し、谷垣の死刑執行も批判、死刑執行猶予制度を採用せよ。アムネスティ・インターナショナルAIが、死刑、代用監獄(「ダイヨウカンゴク」と発言)、性奴隷制について法的責任と補償をすべきなのに、安倍首相が歴史修正主義だ、と批判。国際子ども擁護SCIは、子どもの権利条約第3議定書に署名すること、フクシマの人々の健康権を尊重し、被曝した人への差別に対処することを求めた。国際レズビアン・ゲイ協会ILGAは、日本の「レインボウ」の情報をもとに、ジェンダー・アイデンティティに関する差別を訴えた。ドン・ボスコ国際DBIは、子どもの教育、教員のストレス、体罰問題を取り上げ、さらにフクシマの子どもが危険な放射線下に置かれていると指摘した。国境なき記者団RWBは、福島事故に関する情報公開、知る権利、取材の自由が制約されていることを取り上げ、表現の自由が市民の安全を保障することに繋がるようにせよと求めた。反差別国際運動IMADRは、憲法14条にもかかわらず、人種差別など各種の差別があるとして、包括的な差別禁止法の制定、朝鮮人や中国人に対する憎悪の煽動への対処を求めた。ヒューマン・ライツ・ナウHRNは、福島の人々の健康権につき、20ミリシーベルトは国際基準の20倍だと批判し、人々に選択の可能性がなくされている事を指摘し、被害者への補償と医療を求めた。日本の表現の自由を考える会JARFSは、日本が公務員のビラ配りを犯罪としていることを批判した。                                                                                                          最後に日本政府がリプライで同じことを主張して終わり。報告書は予定通りに採択された。