Monday, June 10, 2013

ヘイト・クライム禁止法(23)

カナダ政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/CAN/19-20. 8 June 2011)によると、刑法718条2項(a)(i)は、刑罰加重事由として、犯罪が、人種、国民的又は民族的出身、言語、皮膚の色、宗教、性別、年齢、心身の障害、性的志向その他類似の要因に基づいた偏見、予断、憎悪に動機を持つ場合を掲げている。                                                               刑法430条(4.1)は、偏見、予断、憎悪に基づいて、主に、教会、モスク、シナゴーグ、寺院、墓地などの宗教施設のために用いられる財産を破壊する特別の犯罪を規定している。                                                                                              ヘイト・スピーチについて、刑法318条は、皮膚の色、人種、宗教、民族的出身又は性的志向によって「識別される集団」に対するジェノサイドの主張や促進を禁止している。刑法319条1項は、公共の場で平穏を侵害するような発言で、「識別される集団」に対する憎悪を扇動することを禁止している。刑法319条2項は、私的な会話以外の発言で、「識別される集団」に対する憎悪を恣意的に促進することを禁止している。検事総長は、「識別される集団」とは、皮膚の色、人種、宗教、民族的出身又は性的志向によって区別される公衆であるとし、「発言」とは、広く「語られ、書かれ、電気的又は電磁的に記録され、又はその他の言葉並びにジェスチャー、サイン、その他の可視的表現」であるとしている。                                                                                         インターネット上の憎悪プロパガンダについては、2001年の刑法改正により、刑法320条1項が置かれた。憎悪プロパガンダがオンラインに乗せられた場合に裁判所が削除命令を出すことができる。当該情報を投稿・記載した人物は、裁判官の面前で、削除するか否かの判断のために聴問の機会を与えられる。これは刑事訴追とは別の手続きである。投稿者が不明の場合や外国からの投稿の場合にも削除できる。                                                                                カナダ人権法13条は、差別的慣行として、人種、国民的又は民族的出身、皮膚の色、宗教、年齢、性別、性的志向、婚姻状態、家族状態、障害又は赦免された有罪判決をもとに、人を憎悪又は侮辱にさらすようなことを、電波放送又はインターネットを通じて繰り返し伝達することを掲げている。                                                                                  以上とは別に州法があるが、省略。