Tuesday, February 04, 2014

ヘイト・クライム禁止法(48)ホンデュラス

ホンデュラス政府が人種差別撤廃委員会84会期に提出した報告書(CERD/C/HND/1-5. 13 May 2013)によると、憲法60条は、性別、人種、階級その他の人間の尊厳に偏見を持たせる理由に基づく差別は処罰されるとしている。                                                            刑法321条はこのルールを一般的な差別犯罪としている。「性別、人種、年齢、階級、宗教、政党又は政治的関係、傷害、又はその他の人間の尊厳に偏見を持たせる理由に基づく差別に他人を服させた者は、3年以上5年以下の刑事施設収容又は3万以上5万レンピラス以下の罰金に処する」。ホンデュラス政府はこれが条約第1条に規定された差別の定義を満たしていないことを認めている。例えば、「あらゆる区別、排除、制限又は優先」といった表現がない。条約第1条は「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身」としているが、刑法321条はこれとは異なる。                                                                    司法・人権省は、刑法321条改正を検討し、国会に上程している。草案は「性別、ジェンダー、年齢、性的志向、ジェンダー・アイデンティティ、政治的意見、身分、先住民族の一員であること、アフロ・ホンデュラスの一員であること、言語、国籍、宗教、家族的背景、財政状態、社会的地位、異なる能力、傷害、健康状態、身体の外観、又はその他の人間の尊厳に偏見を持たせる理由に基づいて、恣意的又は違法に、個人又は集団の権利の行使を妨げ、制限し、減少させ、妨害し、または無効にした者は、3年以上5年以下の刑事施設収容又は3万以上5万レンピラス以下の罰金に処する。実行行為が暴力を持って行われた場合は、刑罰は3分の1加重される。」                                                                刑法319条は、ジェノサイドの処罰を定めている。司法・人権省は、殺人罪の規定について、「憎悪又は侮辱」を刑罰加重事由とする改正案を作成している。                                                                    ホンデュラスは2002年に国際刑事裁判所規程を批准したので、ジェノサイドや人道に対する罪について、国内法の下でも処罰されると理解している。                                                                       以上はヘイト・クライムに関する情報で、ヘイト・スピーチについては特に記述されていない。刑法321条は暴力を伴わない場合の規定なので、解釈によってはヘイト・スピーチ処罰が含まれると考えられるが、詳細は不明。また、刑法総則規定をみてみないと不明だが、通常の教唆、煽動、幇助の規定があるのであろう。又、ジェノサイドの教唆などもICC規程に明記されている。その種のヘイト・スピーチ規定があると言える。