Tuesday, August 26, 2014

布施英利『構図がわかれば絵画がわかる』

布施英利『構図がわかれば絵画がわかる』(光文社新書、2012年)

帯カバーにムンクの『叫び』が提示され、「画面を支配する赤=攻撃」「赤の効果で空が飛びだして見える=意見」「逆三角形が不安定=不安を生む」「青が赤より近くにある=空間の秩序を破壊」といった解説が施されている。なるほど、と思い手にした。まずは点と線がつくる構図として垂直線と水平線、次に形がつくる構図として対角線と三角形と円、さらに空間がつくる構図として一点遠近法と二点遠近法と三点遠近法、と言いた具合に構図の入門が続く。後半では、光、色、人体の解説があり、最後に人体を理解する為尾美術解剖学である。説明のために提示される絵画作品は、フェルメール、ダ・ヴィンチ、セザンヌ、ピカソ、ヴァン・ゴッホ、モネ、ルノワール、光琳、等伯など誰でも知っている作品が中心だ。もっとも、ギリシア彫刻やインドの仏像なども詳しく取り上げられる。人体と仏像の部分は著者の個人的趣味に走り過ぎだが、全体として楽しい構図入門だ。
著者は芸術学者、東京芸術大学准教授(美術解剖学)だ。芸大出身だが、東京大学の養老孟司のもとで解剖学も学んだという。

フェタ、ロックフォール、ナチュラル、そして名前に魅かれてL’ESPRIT DE GENEVE par Emilienne et Jean Hutin,2012.