Saturday, October 29, 2016

ヘイト・スピーチ研究文献(73)Q&Aヘイトスピーチ解消法

外国人人権法連絡会・編著/師岡康子・監修『Q&Aヘイトスピーチ解消法』(現代人文社)
<東京・大久保や神奈川・川崎、そして京都などで繰り広げられた、在日コリアンを不当に差別、攻撃するヘイトスピーチ。耳を覆うような敵意に満ちた暴言が平気で繰り返される状況は、放置してよいわけがない。被害者のみならず誰もが安心して暮らせる街にするために、国や地方公共団体は何ができるのだろうか。>
5月末の法制定を受けて、夏の間に執筆・出版された解説本である。編者をはじめ執筆者はいずれも差別とヘイトをなくすために活動してきた弁護士や研究者であり、コンパクトながらていねいな解説になっている。

ヘイトスピーチ解消法にはいくつもの限界があり、不十分な法律であるが、この法律でできることもあれば、その運用次第でより一歩前進することも可能である。そうした積極的な姿勢から法律を批判的に読み込み、次のステップを模索する本でもある。