Tuesday, October 04, 2016

ヘイト・スピーチ研究文献(71)津久井やまゆり園事件(2)

前田朗「メッセージ犯罪としてのヘイト・クライム」『マスコミ市民』572号(2016年)
前田朗「ヘイトクライムは放置すれば確実に社会を壊す――メッセージの誤配を匡すために」『市民活動のひろば』144号(2016年)
前田朗「ヘイト・クライムの『被害』を考える――津久井やまゆり園事件の恐怖とは」『市民の意見』158号(2016年)
津久井やまゆり園事件について、いくつかのメディアに書かせてもらった。重複をまぬかれないが、多少は違いを出す工夫をしながら。一部を下記に引用。
 津久井やまゆり園事件の場合、無惨に命を絶たれた被害者以外に、生き延びた被害者、狙われた被害者の家族、友人知人、そして施設の関係者のいずれもが何らかの形で、心理的に過重な負担を抱えさせられた。メッセージ犯罪の心理学的影響は、一度そのメッセージを打ち消しても、何度も何度もよみがえってくる特徴を有する。事件の恐怖は過去形ではなく、これからやって来るかもしれないことも認識する必要がある。
 それゆえカウンター・メッセージを効果的に反復する必要がある。カウンター・メッセージに続いて、啓発、教育、行政指導、法改正など、あらゆる方策が検討されるべきであり、総合的な取り組みが必要である。

すべての個人の個性が尊重され、すべての命が大切にされるよう、差別と闘う社会づくりが必要である。放置しておくとヘイト・クライムは社会を壊す。壊れる前にやるべきことがたくさんある。