Friday, December 23, 2016

ヘイト・スピーチ研究文献(79)李信恵訴訟一審判決について

前田朗「李信恵名誉毀損訴訟一審で勝利判決」『部落解放』734号(2016年)
16年9月27日、大阪地方裁判所は、在日朝鮮人のフリーライターである原告・李信恵が、在日特権を許さない市民の会(在特会)及び同会元会長の桜井誠を被告として損害賠償支払いを求めた名誉毀損裁判において、原告の請求を容れて、被告に77万円の賠償支払いを命じた。本判決をおおむね肯定的に論評した。
「判例としては通常の名誉毀損・侮辱事件の事例判断であるが、社会現象化したヘイト・スピーチに対する訴訟として注目された本件について、妥当な結論が出されたと言えよう。
異常な差別集団による悪質な差別行為に対して敢然と立ちあがり、裁判を闘い抜いた原告と弁護団(上瀧浩子、大杉光子)に敬意を表したい。

 もっとも、冒頭に示したように、原告は複合差別(人種差別と女性差別)の法理を主張しており、判決が女性差別については特段の判断を示さなかったため、控訴した。被告らも控訴したようである。」