Thursday, March 09, 2017

衰退する国の混迷する学校問題

前屋毅『ブラック化する学校』(青春新書)
<世界の教員の中でも格段に長い労働時間、
一日の平均読書時間はたったの13分、
増える精神疾患による休職…
なぜ先生はそんなに“忙しくなった”のか?
子どもが学ぶ場であり、社会の縮図でもある学校。
そんな学校で、いま何が起きているのか?
子どもを持つすべての親、教育関係者必読の一冊!>
「先生はなぜ忙しくなったのか」「公立小中学校で非正規教員が増えている理由」「心を病む先生たち」「先生に、子どもに、競争を強いているのは誰か」。
いずれもこれまでに知られていることだが、改めて整理されると、なるほど深刻な事態だということがより痛感させられる。もともと政府の教育予算が貧しいにもかかわらず、なんとかなっていたのは高度成長の右肩上がりの時代くらいで、あとは学校現場は貧困、紛糾、混迷の途をたどってきた。その中で、教師も子どもも押しつぶされないように自己防衛するしかない。
官僚と産業界は、使い勝手の良い子どもを育てることしか考えていない。一部のエリートと、大半の従順な子どもたちさえいれば良いという、従来から指摘されてきた官僚と産業界の亡国路線は今なお健在だ。本書もその弊害を厳しく指摘する。
著者はフリージャーナリスト。立花隆や田原総一朗のスタッフや週刊ポスト記者の経験。教育問題に関する著書が数冊ある。