Saturday, May 06, 2017

旭日旗掲揚問題と報道比較

5月4日、アジア・サッカー連盟(AFC)は、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の水原(韓国)戦で、J1川崎のサポーターが旭日旗を掲げたことについて、AFC主催大会のホーム1試合を無観客試合とし、罰金1万5千ドル(約70万円)を科す(ただし1年間の執行猶予付き)と発表した。
この件に関する各紙の報道を比較してみよう。
東京新聞5月5日:第2社会面:2段48行
見出し「J1川崎 旭日旗問題で処分」
事実を簡潔に報じたうえで、
「AFCの規律委員会は、旭日旗は国籍や政治的主張に関連する差別的象徴とし、倫理規定に違反すると認定した。」
Jリーグの村井満チェアマンの言葉「判断の背景を確認しないといけないが、運営を円滑にするために協力することはありうる」を紹介。
川崎の藁科義弘社長の言葉「旭日旗は一般的に使われてきた事実があり、政治的、差別的なものではない。主張していくべきは主張したい。」を紹介。
毎日新聞5月5日:スポーツ面:2段44行
見出し「執行猶予付きで川崎無観客試合」
事実を簡潔に報じたうえで、
「ACL1次リーグの水原(韓国)戦で川崎サポーター2人が旭日旗を掲げ、反発した水原サポーターが川崎側の出口に押し寄せる騒動になった。」
「川崎の藁科義弘社長は『処分の理由が明確になっていない』としてAFCに問い合わせる方針。Jリーグの村井満チェアマンは『川崎を支える形で日本の立場を主張していく』と語った。」
産経新聞5月5日:社会面:3段58行(そのうち22行は共同通信記事。36行は独自記事)
見出し「J1川崎に無観客試合  『政治的なメッセージない』『国としてきちんと主張を』」
独自記事では、
「旭日旗はかつて旧日本軍の軍旗として用いられたが、現在は海上自衛隊の自衛艦旗に使われているほか、戦前から、漁船の大漁旗や祝賀イメージにちなんだデザインとしても定着している。」
「川崎の藁科義弘社長は『旭日旗に政治的、差別的メッセージは一切ない。正しい認識が得られずに残念だ』と説明。Jリーグの村井満チェアマンも『大変残念。日本の主張をしっかり伝え続けていく』と話した。」
「スポーツ評論家の玉木正之氏は『旭日旗を掲げることが政治的メッセージと関係ないという立場を示すならば、国としてきちんと主張すべきだ』とする。」
麗澤大の八木秀次教授の言葉「旭日旗を掲げる人の大半は応援のためで、ヘイト(憎悪)の意図があるわけではない。日本政府はこれを機に、曖昧だった旭日旗の法的位置付けを明確にする必要がある」を紹介。
読売新聞5月5日:スポーツ面:3段31行
見出し「応援席に旭日旗 猶予付き『無観客』」
毎日新聞とほぼ同じ内容だが、
「旭日旗に政治的、差別的意図はない、というのが日本サッカー協会、Jリーグも含めた日本側の立場。川崎の藁科義弘社長は『処分理由を確認し、今後のことを考えたい』と、質問状を提出する意向を示した。Jリーグの村井満チェアマンも『大変残念。日本の立場をしっかり主張していくことになる』と話した。」
朝日新聞5月5日:社会面:2段48行、及びスポーツ面:1段33行(潮智史)[唯一の署名記事]
社会面:見出し「サポーターが旭日旗 川崎を処分  チーム『政治的でない』アジア連盟『規定違反』」
事実関係が一番詳しく「川崎サポーターが旭日旗を掲げ、水原のスタッフが没収。両サポーターがつかみ合いになったり、水原サポーターがスタジアム外で川崎サポーターを待ち構えたりする騒ぎに。」
旭日旗の解説に「韓国や中国では『日本の軍国主義、帝国主義の象徴』との認識が強い。」
スポーツ面:見出し「視点 旭日旗 処分の重み受けとめて」
「執行猶予つきとはいえ、ホームゲーム1試合の無観客開催を科す処分の重みをきちんと受けとめるべきだろう。」
藁科社長の言葉について、「処分への異議申し立てなどの手段は賢明とは思えない。スポーツ界から政治的な問題に広げることになりかねない。」
「2013年に韓国であった東アジアカップでも旭日旗を巡って、日韓の間で問題となった過去がある。隣国の人々が不快感を示す、という認識は日本サッカー界で共有されている。」
「Jリーグは世界で最も安全な観戦環境を誇りにし、海外にも示してきた。安全やアジアをリードしてきた信頼を失うような事態を避けるためにも、今回のようなことを繰り返さない取り組みにこそ目を向けるべきだ。」